40代になって、鏡に映る自分の輪郭にふと目が止まることが増えました。昔はシャープだったはずのフェイスラインが、少し丸く、重たく見える。食いしばりのクセもあって、エラまわりが張って見える日が続くと、写真に写る自分を好きでいられなくなる瞬間がある——その小さな違和感が、エラボトックスという選択肢に私を近づけました。
とはいえ、最初の気持ちは期待よりも不安のほうが大きかったです。「表情が固くならないかな」「不自然に細くなったらどうしよう」「周りに気づかれる?」。40代は、若さだけを追いかける年代ではなくなるからこそ、“やりすぎ”への恐れも同時に大きい。仕事や家庭、子ども、親のこと——守るものが増えるほど、見た目の変化に慎重になる自分がいます。
カウンセリングでは、単に「細くしたい」ではなく、どう見られたいかを丁寧に言葉にしました。シャープ=若さ、ではなく「疲れて見えない」「優しく見える」「自分の骨格が好きになれる」という方向。医師からは、筋肉のつき方・食いしばりのクセ・噛み癖などを説明され、「変えすぎない」ために少量から段階的にという提案。これが40代の私にはしっくりきました。劇的なビフォーアフターより、“私の顔のまま軽く整う”こと。ここに納得感があると、決断は怖くなくなります。
当日は拍子抜けするくらい短時間。帰り道、頬に少し重だるさを感じながらも、「私、自分のために一歩踏み出したんだ」と不思議な高揚がありました。ただ、すぐに劇的な変化は起きません。数週間かけて、ふと横顔の影が薄くなる。マスクを外してコンビニのガラスに映った自分の輪郭が、少しだけ軽やかに見えた朝——その小さな実感が、自己肯定感を静かに押し上げてくれます。
同時に、心がけたことがいくつかあります。
・噛み癖を意識して緩める。食いしばり対策のストレッチや就寝前のリラックス。
・「褒められたら素直に受け取る」。美容の変化を“言い訳”せず、「ありがとう」と言える自分でいる。
・変化を急がない。効果の波に一喜一憂しすぎない。
・他人の基準に合わせない。SNSの“理想の輪郭”を追いかけすぎない。
40代で美容医療を選ぶとき、私が一番大事にしているのは「自分の生活が楽になるかどうか」です。すっぴんのコンビニ、朝のメイク時間、写真に写る自分——その“日常の小さなストレス”が軽くなるなら、十分に価値がある。逆に、頻繁な通院や周囲の視線への過度な緊張、家計への重さが心を曇らせるなら、立ち止まって見直す勇気も必要だと思います。
家族にはどう伝えるか。私は正直に話しました。「食いしばりがつらいのと、輪郭をちょっと整えたい。自分の機嫌を自分で取るつもり」と。結果、思っていたよりずっとあっさり受け入れられ、むしろ「最近、表情が柔らかいね」と言われたとき、自分の選択が“見た目”だけでなく“心の余裕”にも効いていると実感しました。
もちろん、どんな施術にも向き不向きがあります。効果の感じ方や持続、費用感、副反応への向き合い方——「確実」はない。その不確実性を抱えたまま、それでも歩を進めるとき、拠りどころになるのは“こうなりたい私”の解像度。誰かの正解ではなく、私の正解。輪郭が少し軽くなった顔で、同じ笑い方をする私。そこにブレがないほど、選択は優しくなります。
エラボトックスは、私にとって「若返りの魔法」ではありませんでした。むしろ「年齢に合わせて、軽く整えるチューニング」。無理に昔へ戻すのではなく、いまの私を好きでいられるバランスへ。40代の美しさは、背伸びでも我慢でもなく、手放しと選択の積み重ねなのかもしれません。
今日も洗面台で、輪郭を指でなぞりながら思います——美しさは“私の機嫌”と“私の生活”を整えるための道具。その一つとしてのエラボトックスを、穏やかに、賢く、そして自分のペースで。
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